遠くはなれて その2



次男が家を出て寮生活を始めてひと月が経ちました

毎日、私の方から一言LINEを送って生存確認(笑)

「今日の夕ご飯は美味しかったかな?」とか、殆どが食べ物ネタです

次男からはしばらくすると返信があり

家にいる時より話しているような錯覚に陥ります

声は聞こえていないけれど

文字を追えば、あの子の姿がくっきりと浮かび上がってきます


休みの日曜にどうしているのかとLINEすると

「今日の飯は過去最悪やった、春雨が大きいお皿にどっさりきた」と。

春雨の大嫌いな息子です、これはさすがに厳しいなあと思い

「どうしたの?」と聞くと

「何とか食べきった」と。


苦手な食べ物を前にして、絶句しながらも箸を持ち

挑戦し格闘し克服している姿・・

「僕はもう食べられない物が無くなった」と豪語する彼は

このひと月で、随分変わったように思います


家にいた時から、ほとんど話をしない子です

「おはよう」、「行って来ます」、「ただいま」・・

毎日それくらいしか声を聞きませんでした


離れてしまうとそれすら聞くことが無くなって

彼の存在が消えてしまうんじゃないかって・・


だけど現実はその逆で

しばらくは、その気配が強すぎて彼の部屋に入れませんでした


2週間以上たって戸を開けると

いつものようにヘッドホンを付けた背中が見えた気がしました

さっきまで握ってたようなシャーペン

散らばった消しゴムのカス

飲みかけのペットボトル

「大学生になったらやるんだ」と買った初心者用エレキギターが

持ち主のお帰りを心待ちにするように光っていました


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夏休みまで帰らず頑張るんだと言ってます


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遠くはなれて


4月2日次男は予備校の寮に引っ越しました

自分で起きて、食堂で準備された食事をとり

学校へ徒歩通学

昼食は外食

夜、帰宅して食堂で夕食をとり

部屋に戻ってお風呂に入って洗濯場に行って洗濯をする

そんな毎日を繰り返しているようです

次男は偏食ですが寮のごはんを食べています

ただ夕食は6時に準備されているため、講義を全て受けて帰宅したころには

冷たくて、硬くて、美味しいとは言えないようです

はじめて来たLINEに「朝晩クソまずかった」

「へんな緑のもずくみたいなんとトマト食わされた」と書いていました

要領のいい子は、サッサと捨てて立ち去るんだろうなと思っていましたが

「こうしたらいい」という事を極力言わないように我慢です

彼が自分で生活のリズムやハウツーを

獲得していくことを見守りたいと思います


一週間ほど過ぎて、周りの人たちが食事を残して捨てているのを目撃したようで

そういう選択も出来るとわかったようですが

「僕は食べる」と言いました

頑張って飲み込んでいる様子が目に浮かびます


昔、流行った歌の歌詞がそのままに溢れます

元気でいるか

街には慣れたか

友だち出来たか

寂しかないか

お金はあるか

今度いつ帰る


休みの日に銭湯めぐりして、ここと決めたところに夜行ったとか

意外と行動派?


友だちが出来たらいいのになぁ・・・

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予備校生活がスタートしました
寮生活もスタートでいろんな新しいことが始まった春になりました


more...

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夢をありがとう



次男の大学受験が終わりました

桜咲きませんでした

だけど息子に夢を見せてもらいました

あんな素晴らしい大学を受験しに行ったこと

不登校の頃は、これが夢であって欲しいと何度願ったか

それが、今度は母に夢を見させてくれたんだもの

そりゃあ、合格を祈りましたよ

神も仏もお月さんにまで手を合わしました

桜は咲かなかったけど

胸を張って言えるんです

息子よ、夢をありがとう


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さあ、次に進まなきゃね

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兄弟の鍵


最後の試験が近づいて、長男から

「明日から少しずつ早く起きるようにするから、モーニングコールして欲しい」と

お願いのLINEがきた

始めの週は8時、次の週は7時、そして5時半が2回、最後は5時20分だった

7時のコールを1度忘れた

次男の受験の朝だった

「起こしてよ」長男のLINEが怒ってた、「次男の受験で忘れた」とあやまったら

「どこ受けたの?」と兄貴っぽさを覗かせた


最後の3回のコールには随分気を使った

絶対起こさなければいけないし

本当に起きているかの確認も必要だった

モーニングコールするために、私も目覚ましをセットする

携帯の目覚ましは、コトコトと鳴って脳のどこかをノックする

飛び起きて、すぐにLINEの電話を鳴らす

20コールくらいで切れてしまい、また掛けなおす

それを3回繰り返し、LINEから携帯電話の番号に変えてコールする

呼び出し音が変わるから

夢の中にも僅かな音の変化を感じる場所あり、彼を揺さぶってと願う

長男「・・・はい・・起きた・・」

私「起きた?・・じゃあ・・」

ほんの短い会話で切る、声の後ろで彼の部屋の目覚まし時計が叫んでた

私はやっとほっとして少し眠る


1時間ほど経ったら、2度寝していないかとLINEを入れ返事を待つ

一言激励の言葉を添えたいと探すが、時間が気になる、早く打たなければ

あまり使いたくない「頑張れ」という文字が、むき出しで変換できず悔しい

私「もう家を出ましたか? 頑張ってね 大丈夫!」

15分して既読がついて「うん」と返事がきた

よかった・・・


緊張の糸をほんの僅かでも緩めてやりたいのに

語彙の決定的な不足に打ちのめされてギブアップ


そんな時、兄弟の存在が思い浮かんで、頼んでみた

冷たく硬い長男の部屋の机にメモを置けるのは

秘密の鍵を共有する兄弟しかいない・・そんな気がした

「お兄ちゃん、大きな試験で大変な時やからメールで力づけてあげて」って・・

いつものように、次男は軽く返事する

「わかった」っと。(こう言って、やったことは無いんだけれど)

三男は、ちょっと困った顔をして「・・・うん・・」と言った

「気恥ずかしいな・・」って言いながら

「・・うん、でもやってみる・・」と笑った


あくる日、いつものように「あっ、忘れてた」を想定して

次男に尋ねると、「LINEした」って・・・驚いた

「僕のこと、ちっとも信じてないんだな」って、言われた気がした

お兄ちゃんは「頑張るわ」って答え、そちらはいつ試験かと聞いて、「頑張れよ」と言ったって。

あたたかい風がふわっと流れて、固まってた私がゆるくほどけた

三男も「試験頑張って」って送ったら「頑張るわ」って返ってきたって。


避けようとした「頑張れ」が結局何回も往復した

「頑張るわ」に変換されて戻って来た「頑張れ」は

いい言葉だった


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鍵を無くさないでいてね

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言わない言葉の行く先


受験まであと2週間

息子は昼に起きて携帯ばかり覗き込んでいる

そんな息子を見ていると身体が2つに分かれて言い争いを始める

一子「頑張る時は今なんだよ、今やらずにいつやるの!って今日こそ言え!」

二子「いえいえ、違うでしょ、それ子どもの問題やし、それ言って頑張る子どもじゃないし」

一子「でも言わんとわからんの違う?みんな今必死でやってんのよ」

二子「あの子がやってないって証明できる?やってるのにって言われるよ、

そして、言う前より親子関係悪くなるし、勉強もやらなくなるし、言うべきじゃない!」

かろうじて二子が勝利して押し黙る・・けれど・・

昼に起きて、用意したご飯に舌打ちして、塾はスルーして、腰痛い頭痛いって・・

・・それ携帯ゲームのしすぎやん!ぶちぎったろか!!

と、心の中はどす黒いネバネバの液体に覆われて

言わない言葉がそれをぐるぐるかき回す

押し黙った一子の言葉は私の身体のあらゆる場所から溢れ出る

その動きや表情や声の低さや鋭い視線に、ガンガン出てくる出てくる

それを振り切って逃げる二子、追いかける一子・・

もはや二子が一子に捕まってぼこぼこにされる一歩前

気持ちを切り替えてみる

私は既に死んでいて、お墓の中から魂だけになって息子を見守っているんだと

当然、どんなに言いたくても言葉は発せられない

そう思えば、いざとなれば言葉を発せられる今は幸せ

今は言う時じゃない

待つことは出来る、待てないのは自分の都合

待ってみよう、待っていよう

きっと大丈夫

こうして寒い中、カフカを連れてその場を離れ散歩する


カフカ、最近散歩が増えて嬉しそうやね

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節分で邪気を払い
立春で春を迎え
心の春よ、早く来い!来てお願い!



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プロフィール

くるみ みるく

Author:くるみ みるく
小5の終わりから始まった体調不良、そして不登校。
学校に行くというあたりまえに思っていたことが、これほど大変なことだったとは・・・。
復学支援をうけ、もう1度歩き始めた子どもを応援して行くために親はどう接していくのがよいのでしょうか。
学び続けることで見えてくるものは何でしょうか。

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